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黄色は止レマ

いらっしゃい

「ビアンカ・オーバースタディ」を読んで、見識の狭さを知ったラノベ勢の読書反省文

感想 ライトノベル

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書店に平積みされた文庫版を見て、仰天しました。
かの筒井康隆大先生がライトノベル!?しかもイラストはいとうのいぢ先生。
そんな物の存在なんて全く知らなかったよ・・・。
悪い予感がする。とっても悪い予感がする。
そんな不安を抱きつつも読んでみた結果、自分の読書スタイルについて考えを改めさせられたので、その過程を記します。

読み方を間違えた

まず初めに断っておきますが、私は筒井作品を殆ど知りません。
10年程前に短編集「最後の喫煙者」を読んだ程度です。「時をかける少女」すら読んでいない。
という訳で筒井作品に対する前提知識も無いので、ひとまず普通のラノベと考えて読んでみました。
そしたらまぁ、面白くないんですよ。とてつもなく。
文体も酷ければストーリーも酷い。キャラクターも酷い。
登場人物がほぼサイコパス揃いなのと、エログロ・超展開に笑ったりはしましたが、冷静に考えて何かがおかしい。
かと言って文豪が若者に擦り寄って失敗したと決めつけるのは浅はか過ぎるし、「一体これはなんなんだろう・・・」と思いまして、amazonでレビューを読んでみる事にしました。
そこで初めて、本書の読み方・考え方の誤りに気付いた訳です。

必要なのはメタ視点

この作品が一体何だったのかというと、筒井康隆から見たライトノベルとその読者たちの事であり、それらへの皮肉・批判という事のようです。
そして、それらを把握する為に必要な読み方を作者があとがきで語っています。

この本にはふたつの読みかたがある。通常のラノベとして読むエンタメの読みかた、そしてメタラノベとして読む文学的読みかたである。どちらでもお好みの読みかたで読んでもらってもよいが、できれば両方の読みかたで読んでいただければありがたい。

作者あとがき
http://sai-zen-sen.jp/works/fictions/bianca/90/01.html

角川の文庫版はあとがきが無いので、それも良くなかったです。
この一文は私の様な察しの悪い読者にとって非常に大事だと思うんですが・・・載せて欲しかった。

上記で私は「普通のラノベとして読んだ」、と書きました。つまり「エンタメとして」読んだ訳です。
その結果面白くなかったし、意図もよく分からなかった。
当然ですね。メタ視点が欠如していたのだから。

これらを踏まえて物語を思い返してみると、本書の意図に気づき、「面白さ」が理解出来てきます。

エンタメとしては100点中0点

繰り返しますが、つまらないんですよ。この本。
ご都合主義、心理描写が浅い、稚拙な表現、倫理観の無さ、感情移入の出来無さetcetc...
エンタメとしては100点中0点レベルで面白くないです。
しかし、それらは全て意図的だったと気付いた時の衝撃たるや。
これに自力で気づく事が出来なかった事が猛烈に恥ずかしくてですね・・・ほんとにほんとに恥ずかしくてですね・・・猛省し、今この反省文を書いています。

今回の件でメタ視点というか、筒井先生の仰る「文学的読み方」が出来ていない事に気付けたので、良き出会いでした。
読解力とはどうすれば身につくのか。ひとまずはもうちょい頭使って文章を読むようにしようか。。。

ラノベも悪くないよ

(以下蛇足)

ここまで書いて、なんだかラノベの敗北みたいな物を感じてしまったのですが、一ラノベ読者としてこれだけは言っておきたい。

ラノベは面白い!

筒井先生が指摘する様な悪習は確かに存在しますが、そもそもラノベってのは「テンプレをどう料理するか」という大喜利めいた側面があるのも事実です(これは結果論かもだが)。
むしろ、そのテンプレをメタ視点からネタにする作品もある・・・あれ?という事は本書も真っ当なラノベなのか??
混乱してきた。
いや、ラノベとは関係の無い人間がラノベを揶揄する為にラノベを書いてるのだから、真っ当なラノベとは言えないラノベ
やばい、ラノベゲシュタルト崩壊

・・・気を取り直して、そんなテンプレや構造に頼らずとも面白い作品はあるし、卓越した文章能力の作者もいる、とだけ。
(だいたい、ラノベだって文章能力は高い方が面白いに決まってる)

・・・反省文というより不毛な怪文章と化してきたので、この辺りで締めます。
私のようにラノベばっかり読んでる方、「ビアンカ・オーバースタディ」を読んで批判してみてくださいな。