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黄色は止レマ

エッセイあるいはただの戯言

(紹介)(微バレ)『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』 - 永田カビ

感想

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遅ればせながらの紹介記事。
発売された当初から「くっさ」とか「こういうの買ってるサブカル女いるわ~」とか言いながら避けてたんですが、結局買ってしまうあたり自分は本当にゴミだと思う。

でまぁ、読んでみたわけですよ。そしたら…その…すげぇんだ。

不覚にもびっくりしてしまったので、どうすごいのか、ちょっと語らせてくれ。

恥ずかしい

前もって書いておくが、この本はアダルトな内容がメインではない。むしろそういった要素はおまけみたいなものだし、これを読んで抜ける奴は中学生でもいないと思う。
この本は、社会からドロップアウト寸前の作者が、自分を見つめ直した結果、風俗へ行き、なんとなく人生の活路を見出す過程を描いたエッセイ漫画
そんな内容なので、終始一貫して自己言及を繰り広げることとなっているのだが、その自己言及があまりにも明け透け過ぎる。
今年度ぶっちぎりの「このマンガが恥ずかしい!」大賞。とにかく恥ずかしい。この一言に尽きる。

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↑もがく作者

ふつうの日常はとてもさびしい、という“気づき”

作者は鬱と摂食障害を抱えており、何故そのような状態になってしまったのか、どう辛いのか、どのように改善していったか、といったことが全体を通して説明される。
しかし、そんな辛さとは裏腹に、悲しいエピソードや劇的な展開は皆無。そもそも鬱になってしまった原因も「学校という自分の居場所がなくなったから」であり、はっきり言ってしょうもない。ただ、しょうもないからこそ、目線を変えれば誰にでも起こり得る。そんなあまりにも普通の…いや、何も起こらない日常が舞台。
その中で、作者は徐々にさびしさを募らせていく。

そう、本書の根幹にあるテーマもとい動機は、タイトル通りの“さびしさ”にある。作者はそれを物語(人生)の中で発見するのだ。

このさびしさは何も起こらない日常によるものだが、「何も起こらない日常」は「自分を大事にしない自分が原因」だとも気づいていく。こういった些細な気づきが、とても胸に突き刺さる。
心を病んでいようがいまいが、悲劇的な過去を背負っていようがいまいが、作者の気づきにはそんな条件や色眼鏡を取っ払う普遍性がある。

恥ずかしいは面白い

だからこそ、ぼくはこの本を読んで、感動したり蔑んだり同情したりする以上に、笑ってやりたいなと思った。作者に「すごく面白かった」って笑いながら伝えたいなと思った。
ちょっと感情移入し過ぎてるかもしれない。でも実際、笑えるんだよ。
語るには恥ずかしい思考がダダ漏れだし、身の切り売りし過ぎだからね?体を張った玉砕覚悟のギャグ漫画だよこれは。そういった意味では吾妻ひでおの『失踪日記』に近い物があるかもしれない。
たぶん今まで、自分を出したり、語ったりするような事が無かったんだろうな、と思わせられる程の饒舌さ。

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最終的に「自分のやりたいこと」を見つける作者。良かったね。まさにこの、やりたいことを本書で全うしている。
ここから喜びの描写が始まるのだが、これがまた…あけっぴろげな喜びっぷりにより、感動的なシーンが台無しになってて面白い。

自分を見つめ直すこと

この本は以下のような方におすすめできます。

  • 笑えるエッセイが読みたい人
  • 心に闇を抱えている人
  • 日常に物足りなさを感じている人

この本で作者は、自分の意見を決して読者に押し付けていないけど、ハッとさせられる描写はとても多い。そして、作者の気づきには我々読者も得られるものが何かしらあるハズ。
最初はタイトルだけで馬鹿にしてたけどね…不覚にも惹き込まれて、こうやって紹介記事まで書いてしまった。

気になった人は是非、手に取ってみてくださいな。

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ