黄色は止レマ

エッセイあるいはただの戯言

眉毛にまつわるエトセトラ

数年ぶりに眉を整えた。
最近髪型を坊主にしていて、スキンヘッドに近い短さなので、眉も少し薄くした方が見栄えが良いと思ったからだ。
まず形を整え、次に薄くカットする。
数年ぶりという事は当然ながら不慣れな作業で、汗水垂らしながら真剣に行った。

眉を整えると、一つ思い出す事がある。
学生時代、私は寮に住んでいて、同じくそこに住む一つ年上の女性に恋していた(その寮は男女共用だった)。
拙いながらもなんとかアプローチし、そこで獲得したチャンスが「女性に眉毛を整えてもらう」というもの。
その寮に談話室というものはなく、異性を部屋に招き入れるのも禁止されていたので、休日の昼間、誰もいない食堂で二人きりになった。
今から思うと、なんでデートじゃなくて眉剃りなのかと首を傾げるが、当時はかなり心弾んだものである。 眉剃りの最中に食堂のおばちゃんがやってきて「あらあら、仲良いわねえ」なんて笑顔で言われたりして、有頂天であった。

確かあの時は「モテたいなら眉を整えないといけない」などと言われ剃ったものだが、今はどうか。
自らの見栄えを気にして剃ったものの、その「見栄え」は一体何に対するものなのだろうか。
アプローチする女性もおらず、過度に身だしなみを気にするような環境にもなく、少なくとも今まで眉を整えずとも特に問題無かった。

恐る恐るながらもなんとか眉剃りに成功し、鏡に映った自分を見て、達成感よりも虚しさの方が湧いてくる。
件の女性には振られた。